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FileMakerProを準備する
ウィステリアは、FileMakerProというアプリケーションソフトを使って開発を続けてきたテンプレートです。ウィステリアを動かすには必ずこのFileMakerProが必要です。
FileMakerProの最新版は2023年8月現在、バージョン2023で、ウィステリア6.0を新規導入する場合は、このFileMakerPro2023を購入する事になります。このライセンス制度が年々複雑になっており、購入さえ解りにくい状況にありますので、このFileMakerProのライセンス購入について重要な部分を大まかにご説明いたします。
1,購入は「シングルライセンス」か「オンプレミスの永続」の2択が基本
クラリス社のホームページで購入方法のページに行くと「プランをお選びください」と大きく書かれてはいるものの、正直何の事やらさっぱりわかりません。さらに言うと、ウィステリアユーザーの方々に推奨したい購入方法はこのページにはありませんので、まずダイレクトに該当の購入ページのURLを以下に記載しておきます。
シングルライセンス → https://store.claris.com/individuals
オンプレミス → https://store.claris.com/teams
このどちらかからのご購入が望ましいと思います。
シングルライセンスが、ごく一般的な購入方法となり、1ライセンス単位での購入です。ウィステリアを使う台数分を、こちらで購入してください。基本的にはインストールデータをダウンロードして使いますので従来のパッケージ版ではありません。
iPadではこのFileMakerProが使えません。iPad用はFileMakerGoをAppStoreからダウンロードしてください。FileMakerGoは無料でダウンロードできます。
シングルライセンスにサブスクリプション契約はなく、買取契約しかありません。
ここでは、シングルライセンスでの購入がわかれば十分ではありますが、もしパソコン端末を5台以上使いたい場合はオンプレミス契約での購入をお願いします。
オンプレミスの場合は「年間」と「永続」の2種類選択肢がありますが、「永続」で「12か月」の契約期間を選びましょう。「年間」と「永続」の違いを簡単に言うと、「年間」はレンタル契約のようなもので、FileMakerProを使いたければ、ずっと使用料を払い続ける契約です。逆に言うと支払いをやめるとFileMakerProが使えなくなります。これは最近流行りの「サブスクリプション契約」という事です。「永続」は、いわゆる買取契約ですが、契約期間「12か月」を選んだからと言って12か月しか使えない訳ではなく、この12か月の間にソフトのバージョンアップがあった場合、無償でその権利が付与されるという意味で、2年目以降の契約更新をしなくても、初年度のバージョンで永年FileMakerProが使えます。
オンプレミスは、以前ボリュームライセンスという呼び名だった物の進化系ですが、現在は5ライセンスが最低単位でFileMakerServerがセットでついてきます。
2,契約の違いによる価格の比較
まず、最新版FileMakerPro2023の単品価格は、税込69,696円です。ネットワークで使う場合、単純に言うとその台数分のFileMakerProライセンスが必要という事になります。シングルライセンスの場合は、1ライセンスが最低単位で買えますが、オンプレミスの場合は最低5ライセンス以上からの購入となります。
先に、オンプレミスの場合「永続」ライセンスの「12ヶ月」を選びましょうと申しましたが、その理由として、「年間」との価格比較をしてみましょう。下図をご覧ください。
この図で価格を比較してみましょう。図中の棒グラフの縦軸が価格です。永続契約の「標準価格」という部分が初年度の買取価格として、年間契約と比較してみてください。年間契約の場合この「標準価格」の3分の1の価格で1年だけ使えます。年間契約を3年続けると永続契約の買取価格と同じ金額になります。4年以上使いたい場合、永続契約の買取価格を超えてしまいますし、その後もずっと払い続けないとFileMakerProは使えなくなります。
一方永続契約は、初年度に買取をすると、もし2年目以降の更新をしなくてもFileMakerProを永年使い続ける事ができます。2年目以降5分の1の金額を支払えばバージョンアップ権が継続されていきますが、これは更新をしなくても大丈夫です。
この比較をもとに、ウィステリアを3年以下しか使わないという限定でもないかぎりは、永続契約が良いだろうという理屈です。
この図は、私の方でライセンス契約について解り易くなるようにつくったもので、クラリス社のホームページから転載したものではありません。クラリス社のホームページはこの事をあえて解り辛く表現してあります。おそらくサブスクリプション契約とクラウド版の推進が狙いだと思われます。この誘導が契約者に不利という事ではありませんし、そこは時代の流れで、メーカーとしてもそちらに力を入れたいという現れでしょう。
サブスクリプションやクラウドにも、もちろん利点はある訳ですが、10年程ウィステリアに関わらせて頂いた立場で言うと、ウィステリアユーザーにそれは向いていないという事です。
引き続き、ウィステリアを動かすのに必要なFileMakerProのライセンスについて、「シングルライセンス」と「オンプレミス」で、ネットワーク使用での違いについてご説明します。
先に、シングルライセンスの場合の解説をします。
FileMakerPro(以下FMP)をサーバーとしてネットワークを組むことができるのですが、最大接続できる子機の台数が5台までです(サーバー機は子機兼用として使えるのでそこまであわせると6台になります)。この時の子機はパソコンやタブレットをあわせて、同時接続子機台数が5台となります、例えば、パソコン2台つないでいる時は、iPadは3台つなげるという具合です。サーバー機はパソコンでなければならないので、このパターンの場合、サーバー機も子機のような使い方をすると、パソコン3台、iPad3台が同時に使える事になります。ライセンスの金額で言うと、FMPが最新のVer2023で、1台あたり69,696円税込の3台分です。iPad用のFileMakerGO(以下FMGO)は無償ソフトなので、そちらに料金はかかりません(ただし、Windowsタブレットはパソコン扱いなので69,696円かかります)。
この理屈でいくと、サーバー機をFMPにして、後の5台をすべてiPadでFMGOにする事も可能です。この場合のコストで言うと、サーバー機に使っているFMP69,696円1台分のみで、iPad5台のFMGOは無償です。究極は、この使い方もできるのですが、使い勝手については、パソコンが何台かあった方が無難ではあります。
次に、オンプレミスの場合の解説です。
おさらいをすると、オンプレミスは、最低5ユーザーライセンスからの契約しかできませんので、69,696円×5ユーザーライセンスの金額が必要です。オンプレミスには必ずFileMakerServerというサーバー専用のFileMakerが付属します(以下FMS)。サーバー機にはこのFMSを使う必要があるのですが、これは従来のFMPをサーバーにする場合とは全く違い、難易度も使用方法も違います。
このFMSをサーバー機として、子機は契約したライセンス数の接続ができます。FMPでは子機5台が限界ですが、オンプレミスはそれ以上いくつも、契約した数だけ大丈夫です。
ここで大きなポイントがあるのですが、シングルライセンスの場合は「台数」なのですが、オンプレミスの場合は、ユーザーライセンスという呼び名で「ユーザー数」でライセンスをカウントするという違いがあります。
具体的に言うと、チェアが8台あったとしても、ウィステリアを使う合計人数が5名だとした場合、5ユーザーライセンスで、チェアサイド8台分全部にFMPを入れてウィステリアを使っても、ライセンス的に問題がありません。
また、ここにタブレットを追加で使う場面を想定すると、1つのチェアでパソコンの画面にウィステリアの口腔内写真を表示した状態で、タブレットでCRASP入力をするとします。1つのチェアで、パソコンとタブレット2つ同時に開いていますが、この時使用しているスタッフが1人なので、これは1ユーザーライセンスという扱いです。これを5チェアで全部同時にやった場合、ユーザーが5人、ウィステリアを開いている台数は10台になるのですが、ライセンスは5ユーザーなので、問題はありません。
極端に言えば、1人で3台4台同時に開いたとしても、ライセンスは1なのです。
このように、使う人数でのライセンスというのが、オンプレミスの最大の特徴で、最低契約数が5ユーザーライセンスからしか購入できない為、使う人数が3名だったとしても、5ユーザーライセンス契約をしなければなりませんが、ネットワーク内での使い方が幅広くなっているので、その価値はあると思います。
クラリス社は、今後のバージョンアップでFMPをサーバー機として使えなくなるとアナウンスしているので、近々シングルライセンスでは5台以下であってもネットワークが組めなくなります。(現在のFMP Ver19.3では、まだ大丈夫です)その明確なタイミングがまだ明かされていない為、どちらの契約でこれからFileMekerを使うべきか微妙ですが、ウィステリアをネットワークで使う前提ならば、是非現時点でオンプレミスでのユーザーライセンス契約をお勧めしたいところです。
まだまだFileMakerのライセンスについて、お伝えしたい事がいくつかありますが、とても複雑なので、ここではこれくらいでやめておきます。何か事前に聞いておきたい事があれば個別にご質問いただいて構いませんので、ご遠慮なく。